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木札のお手入れ(メンテナンス)方法 黄楊 柘植 黒檀


携帯電話などに木札を付けてお使いの状態であれば、徐々に手の脂等で
木札は潤い黄楊(つげ)などの淡色の木札は飴色に変化して行き、黒檀などの
濃色の木札は黒光りし艶を増しますので、その風合いの変化を楽しむのも
天然素材の醍醐味の一つですが、使用状況により木札のお手入れが必要な
場合もございます。
木札お手入れ用品 椿油・歯ブラシ・ティッシュペーパーその際は、椿油などの植物性の油を軟らかめの歯ブラシ等に少量染み込ませ軽く汚れを落とすようにして、余った油分はティッシュペーパー等で拭きとってください。
この方法は一般的な黄楊櫛のお手入れ方法と同じですが、漆などで着色された物は、高級な将棋駒と同様漆の文字が油分で浮いてしまうので木札についた手の脂などを乾いた布で拭き取り軽く磨く程度にとどめてください。
ギター等ネックのメンテナンスに使うレモンオイル・オレンジオイルなどをお使いの場合は、柑橘類の果皮に多く含まれるリモネンによる溶解作用もございますので、椿油より汚れは落ちやすいですが、特に淡色の木札に使用の際は色むらが出ることもございます。
この他、黒檀の箸にはごま油オリーブオイルサラダ油等身近な食用の油を使いますが、メンテナンスに不向きな植物性の油もございますので成分をお確かめになりご使用ください。
また木札に水分を含ませると、木札の光沢がなくなり歪曲やひび割れなど寿命が縮む原因ともなりますので、水洗いはお避けください。
年に一・二度椿油などを定期的に少量染み込ませながら使うと、木札の極度な乾燥を防ぎ、淡色の木札は飴色に変化し黒檀などの濃色の木札は黒光りし艶を増していきます。

究極の洗浄方法として、無水エタノールや漂白剤等を薄めて使って汚れを落とす方法もございますが、汚れも落ちますが木札自体に大きなダメージも与えますので、経験を積まれている方以外お勧め出来ない方法です。
こだわりの欄間調透かし彫り

黄楊と本つげ(本つげと言う木は存在しない)



黄楊・柘植(つげ)は字が表すように黄色く石のように硬く適度な粘りもあり、古くから高級な櫛や将棋の駒、算盤玉、印判、版木などの素材として知られるツゲ科ツゲ属の木です。日本では鹿児島県の薩摩黄楊、三重県の朝熊黄楊(あさまつげ)、東京都の御蔵島黄楊「島黄楊」(しまつげ)が良質とされています。
植木では本つげと呼ばれる木がありますが、それはモチノキ科モチノキ属の木の「いぬつげ」や「まめいぬつげ」と区別するために便宜上呼ばれるようで、実際は本つげと言う木は存在しないようです。
印鑑の業界では、タイなど東南アジア産のアカネ科の木をシャムつげや本つげと表記していたこともあったようですが、公正取引委員会の指導により、素材の表記としてアカネ科の印材はアカネと表記されるようになったそうです。
当店も仕入れの段階で『本つげ』として入ってくる物がございます。
実際それが本つげと呼ばれる黄楊なのか、アカネなのか検証すべく、素性のわかる本柘と表記されているアカネの印材を仕入れて調べて見ました。
アカネ印材とアカネ木札印材はニスで塗装されているので側面は黄色い黄楊のような光沢がありますが、断面は『本つげ』として仕入れた木札と
まったく同じ色の系統のようです。
この『本つげ』黄楊と比べるとあきらかに、赤黒いのですが黄楊の代用品として、使われるほどの木ですので、檜等と比べるとはるかに硬く木目などの癖も無く、黄楊の粘り気のある材質には劣りますが、黄楊に準ずる細密彫刻向きの木です。

左アカネ 右御蔵島産黄楊写真右の木札は国産の黄楊の中でも最も高い評価を受けている御蔵島産の黄楊です、左のアカネ(本つげ)と比べるとニスで塗装しなくとも黄色い木だと言うことがわかります。
現在この二つの素材を使って木札のサンプルを作成中です。

【参考】
学名にBuxusが付く物がツゲ科で世界に約70のツゲ属が存在している。
他の物は、ツゲと名は付きますが別の科の植物です。
●ツゲ(学名:Buxus microphylla var.japonica)
●セイヨウツゲ(学名:Buxus sempervirens)
●チュウゴクツゲ(学名:Buxus sinica)
イヌツゲ(学名:Ilex crenata)
▲マメイヌツゲ(学名:I.crenata f bullata)
▲シャムツゲ(学名:Rubiaceae gardenia)

イヌツゲの原木



今日は、お休みなのですが知り合いの植木屋さんへ
イヌツゲの原木を仕入れに行きました。
ファイル 88-1.jpgファイル 88-2.jpg
伐採をお願いしたイヌツゲは樹齢約40年位らしいですが切り口は
緻密な感じで色もツゲ同様の見事な黄色です。
ファイル 88-3.jpgファイル 88-4.jpg
丸太のまま、お店に持ち帰り後ほど乾燥するのに適当な大きさの
角材に加工します。
ファイル 88-5.jpg

イヌツゲは、黄楊とは違いツゲ科ツゲ属の木では無く
モチノキ科モチノキ属の木です。

乾燥させてどのように変化するのか、またイヌツゲは黄楊の
代用品としても使われるようで、市場で売られている黄楊の
真贋を見極めるうえでもこのような素材があると便利です。
原木での見分け方法は、葉が互い違いに出ているところです。

御蔵黄楊の製材



本日は午後から時間を作って御蔵島の黄楊を製材
しています。
この木も先日のパープルハート同様バンドソー
(帯ノコ)を使っての挽き割りです。
硬い木なのですが、黒檀のように単に硬いと
いうより、粘りのある硬さという感じですね。

ファイル 37-1.jpg
バンドソー特有のブレードドリフトもフェンス
(治具)を微調整すると真っ直ぐにカット
できます。

ファイル 37-2.jpg
つげは、漢字で柘植・黄楊と書きますが
この御蔵島の黄楊は、本当に黄色いです
細かい切りカスがバンドソーでは出るのですが
まるでコーンパウダーのようです。

ファイル 37-3.jpg
先日のパープルハートは現在まだこのような
状況です、電動カンナで表面を加工しようと
思っていましたが、今回はかなり綺麗に仕上がって
おりますので、写真の左に少し写っている
ベルトサンダーで表面を磨く予定です。

昇り龍と降り龍 左甚五郎作上野東照宮唐門



当店で龍の木札を販売するにあたって
商品名を決めないと、と思いふと疑問に
思った、『昇り龍』と『降り龍』
一般的には、天空に昇ろうとする龍の姿を
『昇り龍』
天空より地上に舞い降りる龍の姿を
『降り龍』と言っています。
そして、さらにそのいわれについてネットで
調べていくと、
中国の『後漢書』李膺伝に語られた故事に由来する、
流れの急な龍門という河を登りきった鯉は龍になる
という伝説の諸説をまとめると、
『鯉は滝を登り、登竜門を越え龍となり、
さらに昇って天空の球を手にし下り降りる』
ということになります。
そして、さらに調べたところ、上野の東照宮唐門に
左甚五郎作の『昇り龍』と『降り龍』の彫刻が
あるではないですか。
早速、先週の日曜日に実際に見て来ました。
ここの唐門の龍は社務所のパンフレットによると
『頭を垂れているほうが昇り龍と呼ばれているのは、
偉大な人ほど頭を垂れるという諺に由来すると』
書かれていました。
唐門の左が昇り龍、右が降り龍なのですが、構図から
するとどちらも昇り龍そして頭が上を向いている方が
間違いなく昇り龍と思ってしまいますが、上野の東照宮
左甚五郎作の『昇り龍』は、頭を垂れている唐門左の
龍が『昇り龍』だそうです。
【上野東照宮公式ホームページ】
https://www.uenotoshogu.com/

ファイル 12-1.jpeg
ファイル 12-2.jpegファイル 12-3.jpeg
現在、文化財保存修理中なので本殿内部の見学は
出来ませんが、上野の山はこれから桜が満開になると
思います、東照宮の参堂にも桜の木が植えられて
いましたので、少し足をのばして参拝されてみてはと
思います。
ファイル 12-4.jpegファイル 12-5.jpeg
当店では、混乱を避けるため一般的な龍の構図で
販売することにし、昇り龍はドラゴンボール
(如意宝珠)を追う姿、降り龍は手に持っている姿に
いたしました。


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